英語学習で『聞くだけで英語が流暢に喋れるようなる』といった謳い文句の英語教材を目にした事はないでしょうか?
残念ながら、そのような都合の良い事はありません。
英語学習に近道はありません。
しかし、英語の基礎となる土台をしっかり築くことが出来れば、必ず英語は上達していきます。
今回は、学校では教えない音声学に基づいた、英語の発声の基本を解説します。
これを身につければ、ネイティブが発音する仕組みが分かりますので、参考にして頂ければ幸いです。
【要約】
- 母音は、『舌』や『唇』の形や緊張度合いで音を変化させている
- 母音は『単母音』と『重母音』の2つに分けられる
- 音節主音としての役割が母音にはある
Contents
母音とは?
母音とは「声が口を出る前の間に、舌や唇等で妨げられない音」を指します。
母音は単独で、あるいはその前後に一つまたは複数の子音を伴って、一つの音節を構成する。
すなわち音節主音としての機能を持ちます。
母音の分類
1 舌の高低(Tongue height) 舌がどのくらいの高さに位置するか(下・真ん中・上)
2 舌の前後(Tongue advancement) 下のどどのくらい前に位置するか(前・中央・後)
3 唇の丸さ(円唇性)(Lip rounding) 唇が丸いかどうか(丸い・丸くない)
4舌の緊張度合い(Tenseness)舌が緊張を伴っているかどうか
舌の高低の母音の分類
1高母音(狭母音) 狭母音(せまぼいん)とは子音の摩擦音が生じない境界において舌が上あごに最も近づいて調音される母音のことを指します。
あるいはそれに近いものを含み、舌の位置から高母音(たかぼいん)、口の開きから閉母音(へいぼいん)とも呼びます。
2中央母音
中央母音(英語: mid vowel)とは、口の開きが狭母音と広母音の中間の広さの母音を指します。
中舌母音(英語: central vowel)とは異なる概念で、中段母音と呼ぶこともあります。
3低母音(広母音) 広母音とは、舌と上あごが最も離れて調音される母音のことを指します。
あるいはそれに近いものも含まれ、舌の位置から低母音、また口の開きから開母音とも呼ばれます。
舌の前後
1前舌母音
前舌母音(まえじたぼいん、ぜんぜつぼいん)とは、舌の最も高く盛り上がった位置が最も前で調音される母音です。
また、その位置に近いものも含みます。
軟母音と呼ばれることもあります。
2中舌母音
中舌母音とは、聴覚印象によって前舌母音と後舌母音の中間に位置すると定められた母音です。
前舌母音は舌の最も盛り上がった部分が最も前にある母音で、後舌母音は最も後ろにある母音で、その中間は物理的な距離ではなく聴覚的な印象で定められています。
3後舌母音
後舌母音とは、舌の最も高く盛り上がった位置が最も後ろで調音される母音です。
あるいはその位置に近いものも含みます。
奥舌母音とも言われています。
国際音声字母では、舌の最高部が最も後ろで最もあごの開いた状態の母音を『ɑ』と定め、そこからそのままあごと唇を閉じていき、最も閉じた状態の『u』までを聴覚印象によって3等分し、『ɑ』『ɔ』『o』『u』という基本母音を定めました。
唇の丸さ(円唇性)
円唇母音とは、唇の丸みを伴った母音のことをいい、母音を調音する際の唇の形にはさまざまなものがあるが調音音声学では丸みを帯びるか帯びないかで二分割し、丸みを帯びないものは非円唇母音といいます。
国際音声字母 (IPA) ではこの円唇か非円唇かとともに、舌の最頂部の前後・高低の位置で基本母音の字母が定められています。
なお円唇母音といっても言語によってはより丸みの強い形で実現されるものや、逆に丸みが少なく現れるものがあります。
そこで IPA では丸みの強いものに『 ̹ 』の記号、丸みの弱いものには 『 ̜ 』の記号を付けて表記しています。
舌の緊張度合い
舌の緊張度合いで調音する種類は、緊張母音と弛緩母音(しかん母音)の2つがあります。
中央中舌母音に近いものを弛緩母音、遠いものを緊張母音と呼び、筋肉の緊張の度合いが強いものを緊張母音、弱いものを弛緩母音と呼びます。
ちなみに緊張母音・弛緩母音という言葉に正式な定義はありません。
単母音(monophthongs)と二重母音(diphthongs)、三重母音(triphthong)について
・単母音
単母音は、その音が発せられる最初から最後までを通じて、調音器官(唇、歯、舌など)に動きがないものを指します。
音の長い短いに関係なく、音の出し始めから出し終わりまでを通じて「同じ口の構え」を保ったまま発音されるのが単母音です。
・二重母音
2つの文字(2つの母音、または母音と子音のつづり)でできた母音のことで、2つの文字が結合され、1つの音として発音されます。
発音のコツとしては「最初の母音の方が長く大きく、次の母音は短く小さく発音する」です。
ちなみに、日本語には二重母音という考え方がありません。
・三重母音
三重母音は真ん中の音が最も口の開きが大きく、はっきり発音される主母音が真ん 中にくるタイプです。 前と後の音は軽く添えて全体をなめらかにつないで発音します。
二重母音と三重母音を総称して『重母音』とも呼ばれます。
【まとめ】
- 母音は、『舌』や『唇』の形や緊張度合いで音を変化させている
- 母音は『単母音』と『重母音』の2つに分けられる
- 音節主音としての役割が母音にはある
母音を発声するだけでも、これだけ多くの注意する点があります。
今まで、見ようまままで流暢に喋ろうとしてたのが、非現実的なのがお分かり頂けたでしょうか?
しかし、覚える事は多いですが、一つ一つクリアしていけば、必ず流暢な英語を喋れるようになります。
そして、次回は『子音編』に続きます。