昭和六年、麻布に生まれ、戦前戦後の激動の時代を駆け抜け、全盛期には120店舗以上に躍り出た『生駒軒』。
名を馳せたこの元祖・町中華の名店が、現在では後継者不在や地域の再開発に直面し、数は減ったとはいえ、その数々の店舗は今も変わらぬ味と共に地元の人々から愛され続けています。
この記事では、『生駒軒』の概要から歴史、系列店、そして神田和泉町に誕生した店の創業物語まで、その奥深い魅力を探ります。
時を超えて受け継がれてきた独自ののれん分け制度、美味の秘訣、そして現在も現役で活躍する創業者の姿。
さあ、『生駒軒』の世界へ、共に探訪してみましょう。
【要約】
- 「生駒軒のれん会」に属し、豊富な系列店と独自の歴史を持つ
- 大正六年に誕生し、昭和時代に全盛期を迎えたが、後継者不在や地域再開発で店舗数は減少。
- 生駒軒は東京を中心に多数の系列店を展開。
生駒軒の概要
生駒軒(いこまけん)
1:グループ本部
株式会社 児玉製麺所(東京都台東区松が谷3-10-14)
2:生駒軒発祥の店舗
・生駒軒(人形町)
3:生駒軒系の特徴
・「生駒軒のれん会」に所属する店舗
・「生駒相互親睦会」の会員店舗
・「生駒軒」は登録商標
・「児玉製麺所@入谷」が製造した麺を使用(現在は児玉製麺所は廃業)
4:ラーメンの特徴
・スープ
豚骨・鶏ガラ+煮干の出汁に醤油ダレ
・麺
中細ストレート麺
・具
ネギ、メンマ、チャーシュー(店によってわかめ・ナルトが追加)
多くの店舗で梅干が提供されます。
生駒軒の歴史
大正六年に麻布で生まれた『生駒軒』は、戦前戦後という激動の昭和時代において、のれん分け制度を活かして勢力を拡大し、全盛期には120店舗以上を誇る元祖・町中華の名店として栄えました。
しかし、現在では後継者不在や地域の再開発などの影響により、その数は減少し、わずか30店舗ほどにまで減っています。
それでも各店舗は、地域ごとに守り続けられてきた変わらぬ味わいによって、地元の人々から愛されています。
この『生駒軒』ののれん分け制度には独特の歴史が紡がれています。
本来、『生駒軒』でのれん分けを受けるためには、満28歳以上が条件とされていました。
創業者である児玉氏は、児玉製麺所を興し、複数の『生駒軒』を束ねる『生駒会』の会長としてその座にありました。
児玉製麺所では、のれん分け制度が導入されていました。
ただし、製麺所をのれん分けするだけでは商売敵が増えるだけで成り立たないため、製麺所の麺を使用する中華料理店をのれん分けで独立させました。
これが『生駒軒』であり、それらの店舗を統括するのが『生駒会』でした。
興味深いことに、『生駒軒』という名前の由来は初代児玉彦治が麻布で中華そば屋を開業した際に遡ります。
そのとき、なじみの芸者に『生駒』という名の美しい芸者がおり、その名前に感銘を受けて『生駒軒』と名付けられたのです。
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生駒軒神田和泉町店の創業物語
『生駒軒神田和泉町店』は、昭和四十五年七月一日に渡辺尚俊氏がのれん分けにより開店しました。
当時、渡辺氏は27歳であり、通常では満28歳以上でのれん分けが認められるところ、彼の努力と人柄が異例の独立を許されることとなりました。
元々は長野県警か西武鉄道への就職を考えていた渡辺氏が、東京見物のついでに兄に連れられて訪れた児玉製麺所が運命を変える出会いとなりました。
児玉製麺所の社長である児玉武一氏からの誘いで、渡辺氏は製麵所の仕事に興味を持ち、初めての仕事に対する対価としてもらった5百円札が、彼にとっては人生の節目でした。
その後、渡辺氏は児玉製麺所で真面目に働き、後に直営店の『生駒軒蔵前店』の配属となりました。
そこでの努力と料理の修行が実り、独立の可能性が生まれました。
異例の27歳で『生駒軒神田和泉町店』を開店した渡辺氏は、地元秋葉原でのれんを掲げ、その地で52年にわたり愛される店を築き上げました。
現在もなお、渡辺氏は78歳にして向上心旺盛で、試行錯誤を重ねながら美味しい料理を提供し続けています。
地元の人々に愛され、ランチ時には賑わいを見せる理由は、昔ながらのラーメンやアキパスCEOが絶賛するチャーハン、ボリュームたっぷりの定食など、どのメニューも美味しく、温かな雰囲気があるからでしょう。
生駒軒の系列店
系列店一覧(暖簾分けされたお店から派生したお店も含む)
• 生駒軒(秋葉原) 東京都千代田区神田和泉町1-1
• 生駒軒(人形町) 東京都中央区日本橋2-3
• 生駒軒(水天満宮) 東京都中央区日本橋蛎殻町1-19-1
• 生駒軒(築地) 東京都中央区築地6-8-9
• 生駒軒(日本橋) 東京都中央区日本橋兜町10-4
• 生駒軒(浜町) 東京都中央区日本橋浜町2-24-8
• 生駒軒(茅場町) 東京都中央区新川1-16-7 サンクレスト茅場町1F
• 生駒軒(八丁堀・京橋) 東京都中央区八丁堀2-17-2
• 生駒軒(京橋) 東京都中央区京橋1-9-8
• 生駒軒(月島) 東京都中央区月島1-26-10
• 生駒軒(芝公園) 東京都港区芝2-8-10
• 生駒軒(三田) 東京都港区芝2-28-18
• 生駒軒(芝浦ふ頭) 東京都港区海岸3-2-9
• 生駒軒(新宿御苑前) 東京都新宿区新宿1-14-13
• 生駒軒(新宿御苑前) 東京都新宿区大京町16
• 生駒軒(東大前) 東京都文京区向丘1-7-6
• 生駒軒(稲荷町) 東京都台東区東上野5-4-10
• 生駒軒(新御徒町) 東京都台東区三筋1-11-12
• 生駒軒(浅草) 東京都台東区雷門1-12-1
• 生駒軒(浅草橋) 東京都台東区浅草橋5-25-9
• 生駒軒(蔵前) 東京都台東区蔵前3-3-4
• 生駒軒(東向島) 東京都墨田区東向島2-39-8
• 生駒軒(東向島) 東京都墨田区東向島5-27-4
• 生駒軒(曳船) 東京都墨田区向島5-50-13
• 生駒軒(押上) 東京都墨田区向島3-39-2
• 生駒軒(業平橋) 東京都墨田区向島3-16-11
• 生駒軒(本所吾妻橋) 東京都墨田区吾妻橋1-19-12
• 生駒軒(両国) 東京都墨田区両国3-11-1
• 生駒軒(錦糸町) 東京都墨田区大平2-11-9
• 生駒軒(菊川) 東京都墨田区立川2-7-10
• 生駒軒(住吉) 東京都江東区住吉2-25-11
• 生駒軒(住吉) 東京都江東区扇橋3-16-5
• 生駒軒(森下) 東京都江東区新大橋2-12-4
• 生駒軒(門前仲町) 東京都江東区門前仲町2-7-2
• 生駒軒(大森) 東京都大田区山王3-7-1-101
• 生駒軒(池袋) 東京都豊島区池袋2-30-14
• 生駒軒(北池袋) 東京都豊島区池袋本町1-25-5
• 生駒軒(王子神谷) 東京都北区豊島7-2-11
• 生駒軒(梶原) 東京都北区堀船3-32-3
• 生駒軒(三ノ輪) 東京都荒川区東日暮里1-39-7
• 生駒軒(大山) 東京都板橋区中丸町47-7
• 生駒軒(笹塚) 東京都世田谷区北沢5-34-11
• 生駒軒(東中野) 東京都中野区東中野1-15-5
• 生駒軒(新河岸) 埼玉県川越市大字藤間345-113
• 生駒軒(長野) 長野県大字鶴賀七瀬中町142-6
【まとめ】
- 「生駒軒のれん会」に属し、豊富な系列店と独自の歴史を持つ
- 大正六年に誕生し、昭和時代に全盛期を迎えたが、後継者不在や地域再開発で店舗数は減少。
- 生駒軒は東京を中心に多数の系列店を展開。
「生駒軒」は児玉製麺所発祥のラーメンチェーンで、昭和から続く歴史と豊富な系列店で地元に愛される。
個性的な味わいが広がり、渡辺氏の独立劇や地域への貢献が輝く。美味と温かさが共存する、まさに食文化の担い手。
最後まで記事を見て頂きありがとうございます。